甲状腺疾患
甲状腺疾患 01甲状腺とは
「甲状腺」はのど仏の下にある4~5cmほどの大きさの臓器です。 蝶々が羽を広げたような形をしていて、気管に張り付いています。ホルモンの一種である「甲状腺ホルモン」をつくります。

甲状腺疾患 02甲状腺ホルモンとは
甲状腺ホルモンには、基本的に2種類です。サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があります。甲状腺ホルモンは、全身の臓器に作用し、エネルギー産生や様々な代謝、循環器系の調節に関与しています。また、子供の成長・発育にも重要な役割を果たしています。甲状腺ホルモンは、多すぎても少なすぎても、体調に影響を与えます。
甲状腺疾患 03甲状腺ホルモンの異常からくる症状
甲状腺ホルモンは、通常脳からの指令で分泌量をコントロールしています。何らかの影響で甲状腺の働きに異常がある場合、様々な症状が現れます。
血液中の甲状腺ホルモンが分泌過剰になり様々な症状が現れることを甲状腺機能亢進症と呼びます。症状としては、「暑がり」「脈が速くなり動悸がする」「手指の震え」「食欲は旺盛なのに体重が減る」「イライラしやすい」などがあります。
反対に、甲状腺ホルモンの働きが低下する場合を甲状腺機能低下症と呼び、「寒がり」「一日中眠い」「便秘」「声が嗄れる」「動作は遅く、物忘れが多くなる」といった症状があります。甲状腺の過不足によって、正反対の症状が現れますが、「疲れやすい」「浮腫みやすい」「脱毛」「首の腫れ」といった共通する症状もあります。
分泌過剰症状 | 分泌低下症状 |
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共通症状 | |
だるい、疲れやすい、首の腫れ、浮腫みやすい、脱毛 |
甲状腺ホルモンの異常で現れる症状は必ずしも一定ではなく、どの症状も他の病気でも認められるようなものであるため、原因がわからず加齢や体調の変化の影響と思う人が少なくありません。
甲状腺ホルモンの異常による病気として、以下の2つが代表的です。
①バセドウ病
甲状腺ホルモンが分泌過剰になる病気(甲状腺機能亢進症)で、自己免疫疾患のひとつです。体の免疫システムが異常を起こし、自分の甲状腺を刺激することでホルモンが大量に作られ過剰分泌される状態ですが、まだ原因はわかっていません。若い女性に多いことが特徴です。主な症状として、「体重減少」「頸部の腫れ」「頻脈」「眼球突出」があります。
②橋本病
橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起こっている状態で、慢性甲状腺炎のひとつです。40~50歳代の女性に多いことが特徴です。発症初期には、甲状腺機能が正常であっても、加齢とともに機能低下症が増えていきます。症状として、「寒がり」「物忘れ」「食欲低下」などがあり、更年期障害やうつ病として間違われるケースがあります。
甲状腺の病気は、早期に発見し適切な治療を行うことで症状を改善できます。上記のような症状に心当たりがある方は、病院を受診し血液検査や頸部超音波検査を受けられることをおすすめします。当院では血液検査、臨床検査技師による頸部超音波検査(要予約)が実施可能です。なお、頸部超音波検査で甲状腺内に結節(しこり)がみられ甲状腺がんが否定できない場合には、専門医療機関にご紹介いたします。