小沢眼科内科病院

飛蚊症

飛蚊症 01飛蚊症とは

明るいところや白い壁を見た際に、視界の中に糸くず、黒い点、おたまじゃくし、墨を流したようなものなどが動いて見える状態を飛蚊症(ひぶんしょう)といいます。数は1個から数個、または無数に見えることもあり、色も濃く黒っぽいものや、半透明のものなど様々です。視線を動かすと一緒に追いかけてくる動きをして、目をこすったり瞬きをしても消えないのが特徴です。(図1)

飛蚊症のパターン 図1
飛蚊症のパターン

飛蚊症 02光視症とは

眼球の8割程度の容積を占める硝子体(しょうしたい)という無色透明でゲル状の物質があります。この硝子体は加齢性の変化で縮んできます。この際に目の動きに連動して動き、網膜を引っ張ることによって光が見える症状を光視症と呼びます。目を閉じていても光が見えるのが特徴で、「視界のはじにピカッと光がみえる」と訴えて来院される方が多いです。飛蚊症に随伴して生じることが多いですが、光視症を伴う場合は硝子体の牽引がとくに強いと考えられます。眼底検査を行い、病的なものでなければ経過観察となります。経過とともに自覚する回数が減ってくることが多く、根本的な治療法はありません。

飛蚊症 03飛蚊症の原因

硝子体に何らかの原因で濁りが生じると、透明な角膜、水晶体を通過してきた光によって、この濁りが眼底(網膜)に影を落として飛蚊症として自覚します。光視症と同様に眼球の動きに連動して動くため、視線に沿って動いて見えます。白色の壁や青空を見ると自覚しやすいのが特徴です。

この濁りには治療の必要性がない生理的なものと、治療が必要な病的なものがあります。

飛蚊症 04治療の必要がない飛蚊症

生理的飛蚊症

母胎内で胎児の眼球が作られる過程では、硝子体の中に血管が走っており、この血管は通常生後になくなってしまいますが、時にその血管や血管組織の一部が硝子体の中に残存し混濁として感じることがあります。これは生理的なもので健康な目にも起こる現象です。混濁自体は目に見えないほど小さいため、眼科を受診して眼底検査を行っても混濁を見つけることはできません。若年者の飛蚊症の原因として多いものです。

後部硝子体剥離(加齢とともに生じる飛蚊症)

硝子体は加齢とともに液化して縮み、網膜から剥がれることがあり、この現象を後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)と呼びます。髪が白髪になるのと同様で生理的な老化現象ですが、一方で網膜裂孔や網膜剥離、黄斑円孔などさまざまな眼底疾患の原因となることもあります。後部硝子体剥離は50~60歳台に最も生じやすいですが、中等度以上の近視を持つ人では早く起こることがあります。視神経乳頭や網膜血管に接着していた硝子体は半透明に濁っており、この部分が網膜から遊離してくると、その影が網膜に落ちて飛蚊症の原因となります。(図2)

後部硝子体剥離のシェーマ 図2
後部硝子体剥離のシェーマ
硝子体が液化して縮むことで、網膜から接着が剝がれます。剥がれた際に丸い輪(ワイスリング)が形成されることがあります。
後部硝子体剥離の眼底写真 図3
後部硝子体剥離の眼底写真
硝子体中に黒い浮遊物と丸い輪がみられます(黄色矢印)。これらは目を動かすと一緒に動いてきて飛蚊症の原因となります。高齢者の飛蚊症の原因として最多です。

一般的に発症時は大型の飛蚊症として自覚しますが、1カ月以上経つと気にならなくなる方が多いです。稀ですが、いつまでも視界の中心部から外れず、日常生活に支障をきたす場合もあります。

飛蚊症 05生理的飛蚊症がどうしても気になる方へ

レーザービトレオライシス(Laser vitreolysis)

生理的な飛蚊症に対する治療は本邦では保険診療で認められていませんが、目の前に常に浮遊している混濁がうっとうしくて治療を希望されて来院される方も多くいらっしゃいます。

この様な方に対しては、当院では導入していませんが、YAGレーザーを用いたレーザービトレオライシス(Laser vitreolysis)という治療法があります。(自費診療)

ビトレオライシスでは、ナノ秒パルスの低出力なレーザー光を照射して、硝子体の混濁を蒸散するとともに硝子体索を切断します。浮遊物の大きさまたは量が平均で60~90%低下すると報告されています。

この治療法のデメリットとして、網膜面に近い混濁は照射ができないこと、複数回の照射が必要な場合があること、稀ですがレーザー後の水晶体混濁や網膜裂孔、網膜剥離の合併症などがあげられます。

保険診療外で国内の治療実績が少なく、また治療の歴史が浅く長期成績についての報告も少ないため、導入している施設は限定的です。

当院では一切行っておりませんので、治療をご希望される方は下記リンクをご参照のうえ直接お問い合わせください。

硝子体手術

後部硝子体剥離を起こした際に硝子体出血を発症し、一部は自然吸収された後に強い混濁が残る場合があります。明確な診断基準はありませんが、眼底検査で明らかな硝子体混濁を認め、患者様の強い治療希望があれば硝子体手術を検討します。

硝子体手術のデメリットとしては、50歳以上では白内障が進行しやすいこと、網膜剥離や眼内炎など重篤な合併症があげられます。重篤な合併症が生じた場合は手術前よりも視力が低下する場合もあります。

※生理的な飛蚊症に対しては原則保険診療での治療はできません。(病的なものは除く)

生理的な飛蚊症を訴えて受診される方からご質問される内容に対する回答を掲載しています。しかし、当院としては決して治療を推奨しているわけではありませんので、予めご了承ください。

飛蚊症 06治療が必要な病的な飛蚊症

網膜裂孔・網膜剥離

体質的に網膜の薄い部分がある人では、後部硝子体剥離によって網膜が引っ張られ、孔が空いてしまうことがあり網膜裂孔と呼びます。網膜裂孔は放置すると、眼の中を循環する液体が裂孔を通して網膜の後ろに入り込み、網膜剥離に進展することがあります。(図4)(図5)

  • 網膜裂孔、網膜剥離のシェーマ 図4
    網膜裂孔、網膜剥離のシェーマ
    網膜裂孔に液化した硝子体が流入することで網膜剥離に進展します。
  • 裂孔原性網膜剥離の眼底写真 図5
    裂孔原性網膜剥離の眼底写真
    網膜に馬蹄形の網膜裂孔が形成され、上側から網膜剥離がおきています。中心部(黄斑)に及ぶと著しい視力低下をきたします。

網膜裂孔であれば外来通院でレーザーによる治療が可能ですが、網膜剥離に至ってしまった場合は、緊急手術が必要になります。当院では県外からのご紹介も多く、緊急性が高い場合は原則当日の手術で対応しています。紹介状をお持ちでなくても当日の受診が可能ですので、お気軽にご相談ください。

飛蚊症 07硝子体出血

糖尿病や高血圧など基礎疾患があると、網膜血管や毛細血管に障害が生じて、透明な硝子体中に出血をきたすことがあります。これを硝子体出血と呼びます。

糖尿病網膜症、網膜細動脈瘤、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、網膜裂孔、網膜剥離など硝子体出血の原因は多岐にわたります。原疾患に応じて視力の予後は異なります。加齢性変化で生じる後部硝子体剥離の際にも網膜血管が破綻して硝子体出血を発症することがあります。(図6)

硝子体出血の眼底写真 図6
硝子体出血の眼底写真
真っ赤な硝子体出血のため眼底が全くうつりません。

はじめは墨汁を垂らしたようなものが見え、次第に増えてきて視界全体が見えなくなります。「真っ赤なカーテンが目の前におりてきた」と表現されることもあります。

出血が少量であれば自然吸収されることもあり1~2週間程度は経過観察しますが、出血が吸収されない場合は硝子体手術が必要となります。

近視がある方で突然硝子体出血を発症した場合、網膜裂孔や網膜剥離の可能性が考えられるため早期の硝子体手術をお勧めします。

飛蚊症 08飛蚊症・光視症が生じたら

飛蚊症・光視症で大事なことは、それが治療を要するものかどうかはっきりさせることですが、それは眼底検査をしなければわかりません。眼底検査を行う場合は散瞳薬を用いて瞳を開きます。そのため、4~5時間程度視界が霞んでしまいますので、ご自身での車の運転は控えてご来院ください。

次のような症状がみられるようでしたら、ぜひ眼科受診してください。

  • 飛蚊症の数が急に増えた、性状の異なる飛蚊症が生じた
  • 墨を流したような飛蚊症
  • 急に視力が低下した
  • 視野の一部分が欠けている、歪んでいる
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTubeチャンネル
CLOSE

TOP

  • 電話予約受付時間
  • 月〜土曜日の9:00-17:30
  • 休診日
  • 日曜日・祝日