クラレオン ビビティとは
2023年6月より、当院は日本国内で先行使用される数施設のうちの一つとして認定され、新しい多焦点眼内レンズを導入しました。
この新しい眼内レンズは、従来のものとは異なり、非回折型の多焦点レンズとなっています。
このレンズはAlcon社の独自技術である「波面制御X-WAVEテクノロジー」を採用することで、多焦点眼内レンズの従来のデメリットが軽減されています。
Vivityの特徴
01
遠くから手を伸ばした
距離までの優れた視力
Vivityの遠方視力は単焦点レンズと同様に良好です。
手を伸ばして見る70cmの距離や、スマホ・タブレットを見る50cmの距離での視力も問題なく、多くの方が不自由を感じていません。
30cmでの小さな文字を除くと、日常では自然に物を見ることができます。
02
単焦点レンズと同等の
コントラスト感度
多焦点レンズのデメリットは、光を分散して複数の焦点を得るため、光エネルギーの減少が生じ、これにより、コントラスト感度が低下していました。
しかし、Vivityは波面制御技術を採用することで、光エネルギーの分散が最小限に抑えられ、単焦点レンズと同等のコントラスト感度を確保しています。
03
ハロー・グレアの軽減
Vivityの最大の特長とも言えるのは、ハロー・グレアと呼ばれる異常光視症が非常に少ないことです。
手術後の方からは、「全く気にならない」や「気づかない」との声が多数寄せられています。
従来の多焦点眼内レンズと比較して、その差は歴然です。
Vivityの視力に関する評価※自験例(2023年視能矯正学会にて発表)
遠方視力
- 57%の患者が裸眼視力1.0を獲得しました。
- 平均裸眼視力は1.07であり、非常に良好です。
- これにより、半数以上の方が良好な裸眼視力を得られることが確認されています。
中間視力
- Vivityは遠方視力のみならず、中間視力においても高い評価を受けています。
- 70cmの距離での視力は片眼では1.0を超え、両眼では平均1.31でした。
- 50cmの距離での視力は平均して1.0となっており、
この視力であればノートパソコンなどの作業をスムーズに行うことができます。
近方視力
- 近くの30cmから40cmの距離での視力は0.5程度です。
- この視力範囲では大きな文字は問題なく読むことができますが、
小さな文字を読む場面では、近用眼鏡が必要となります。
Vivityの
コントラスト感度について
Vivityは既存の多焦点眼内レンズの中でも特に優れたコントラスト感度を持つとされています。
下の図でグレーの部分で示されているのが正常なコントラスト感度の範囲です。
Vivityのコントラスト感度は、図中の青色部分で示されており、正常範囲内に位置しています。
これにより、Vivityが高いコントラスト感度を持っていることが確認できます。
しかし、黄色で示される20代の平均コントラスト感度と比較すると、Vivityはそれよりもやや低くなっています。
これは、加齢に関連する変化も考慮に入れる必要があります。
結論として、Vivityを使用すると良好な視力が得られますが、20代の頃のような視力とは異なることを理解しておく必要があります。
Vivityのハロー・グレア
Vivityの特長の一つは、ハローやグレアという光の異常光視現象が非常に少ないことです。
その他多焦点レンズの一例
Vivityの見え方
Vivityが向いている方
正視から遠視の方
元々遠方視力が良好な方、特に50歳前後の視機能に近い状態を求める方にはVivityが適しています。
コンタクトレンズを
使用している方
老眼を自覚しており、術前に近視のコンタクトレンズを使用していた方は、Vivityにより遠方から中間距離の視力が改善されます。
ただし、非常に近い距離での作業には、軽度の近用眼鏡の使用が推奨されます。
夜間運転を頻繁に行う方
Vivityはハロー・グレアの発生が少ないため、夜間の運転が多い方にとって非常に便利です。
カーナビやスピードメーターの確認もしやすくなります。
近距離作業時の
眼鏡使用が許容できる方
Vivityの挿入後、30〜40cmの非常に近い距離での視力は若干低下しますが、これは軽度の近用眼鏡で容易に補えます。
これを気にせず、眼鏡を使用することができる方には適しています。
Vivityが向いていない方
眼鏡をかけたくない方
Vivityは近くの30cmから40cmの距離での視力が弱い点が特徴的です。
したがって、日常的に眼鏡をかけることを避けたい方には不向きです。
そのような方には、3焦点や5焦点の多焦点眼内レンズが適しています。
角膜乱視がある方
Vivityには乱視矯正用のモデルが現時点で提供されていません。
角膜乱視がある方がVivityを使用すると、術後に乱視が残るリスクが高まります。
乱視の矯正が必要な方は、乱視矯正ができる多焦点眼内レンズをご検討ください。
強度近視の方
術前の屈折状態が強度近視の方はVivityの適応範囲外の可能性があります。
レンズの規格
球面度数+6D~+30D(0.5Dステップ)レンズ費用
片眼334,400円(税込)
※Vivityを用いた白内障手術は選定療養の対象となり、眼内レンズ代は自己負担となります。
※上記金額は眼内レンズ代です。別途白内障手術代(保険診療分)がかかります。
※手術費用は、現金またはクレジットカード(VISA・MASTER・JCB・AMEX・ダイナース等)でお支払いください。
選定療養について
2020年3月から多焦点眼内レンズの選定療養が始まりました。
選定療養とは、追加負担をすることで保険適応外の治療を保険適応と併せて受けることができる医療サービスです。
白内障手術に対しては、保険診療で施行し、多焦点眼内レンズと通常の保険診療で使用する単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの差額代金を追加でいただくことになります。
レンズメーカーから仕入れる各レンズの金額が異なりますので、レンズにより追加徴収させていただく金額も異なります。