小沢眼科内科病院

低濃度アトロピン点眼

低濃度アトロピン点眼 01近視抑制治療とは

近年、屋外で活動する時間が減り、近くでの作業の増加、デジタルデバイス(スマホ・タブレットなど)、携帯型ゲーム機の普及により近視の有病率が世界的にも増加傾向にあります。(※1)

低濃度アトロピン点眼

近視は主に子供の成長期に目の長さ(眼軸長)が伸びることで生じます。一度伸びてしまった眼軸長はもとに戻りません。特に眼軸長が伸びやすいのは小学生の時であり、急激に伸びるために近視が進行します。

低濃度アトロピン点眼

近視の程度は軽度近視(-3.00D(ジオプトリー)未満)、中等度近視(-3.00D ~ -6.00D未満)、強度近視(-6.00D以上)に分けられ、強度近視になると下記にあるような他の疾患にかかりやすくなります(※2)。将来、強度近視になり眼疾患を予防するためにも、小学生や中学生時に眼軸長を伸ばさないかが近視進行抑制につながります。そこで、当院ではアトロピン治療を始めました。

疾患 オッズ比
後嚢下白内障 4.55
核白内障 2.87
開放隅角緑内障 2.92
網膜剥離 12.62
近視性黄斑変性症 845.08

アトロピンとは

アトロピンは小児の屈折検査(遠視・近視・乱視を調べる)で用いられます。副作用として瞳孔が広がり、手元が見づらくなります。いくつかの研究によりアトロピンには眼軸の伸展を抑制する効果があることがわかり、現在では近視の進行抑制に使用されるようになりました。

アトロピン治療の歴史
  • アトロピン1%による近視抑制の研究(※3,※4)
    抑制効果は強いが副作用も強く、点眼中止後の近視進行が大きい。
  • 0.5%・0.1%・0.01%での研究(※5,※6)
    抑制効果はあり、副作用は弱くなった。
    点眼中止後の近視進行度合いは濃度に依存することがあきらかになる。
  • 0. 05%・0.025%・0.01%での研究(※7,※8)
    0.05%の近視抑制効果は(64.5%)と高い、0.01%では(27.7%)と報告。
    副作用は同等であり、重篤なものはないと報告される。

【動画】近視の話と低濃度アトロピンの話

低濃度アトロピン点眼 02当院の治療方法

当院では0.05%と0.01%によるアトロピン治療を行っています。

  メリット デメリット
0.05% 抑制効果高い 瞳が大きくなる
副作用が見られる
0.01% 0.05%より効果弱い 副作用がほとんどない

十分に説明を行ったうえで同意をいただければ0.05%から始め1か月使用して日常生活に支障をきたす場合は0.01%に変更することも可能です。

毎日行うこと
1日1回、夜に点眼をする。
(点眼後に瞳が大きくなります。朝早くから行動する場合は早めに点眼することお勧めします。)
例: 夜の19時に点眼 → 朝の7時には12時間経過している。
低濃度アトロピン点眼
適応条件
  • 20歳以下
  • 近視以外に目の病気がないこと
  • 定期的な通院が可能なこと

検査スケジュール

※治療に関わる検査などはすべて自費診療となります。

時期 料金(税込み) 検査内容 点眼本数
適応検査 3,300円 視力・屈折・瞳孔径・調節力
調節麻痺薬での屈折検査
初回
(点眼開始時)
5,500円 眼軸長 1本
1か月後 5,500円 視力・屈折・瞳孔径・調節力・眼軸長 3本
3か月後 5,500円 視力・屈折・瞳孔径・調節力・眼軸長 3本
6か月後 5,500円 視力・屈折・瞳孔径・調節力・
眼軸長調節麻痺薬での屈折検査
3本
9か月後 5,500円 視力・屈折・瞳孔径・調節力・眼軸長 3本
12か月後 5,500円 視力・屈折・瞳孔径・調節力・
眼軸長調節麻痺薬での屈折検査
3本

※「調節麻痺での屈折検査」はピント調節を麻痺させる点眼薬を使用し正確な屈折力を測定します。この検査では、来院して点眼1時間経過後に屈折検査を行いますので時間がかかることをご了承ください。

低濃度アトロピンは近視を回復させるものではなく、将来なりうる近視の度合いをできるだけ少なくすることを目的としたものです。強度近視になる可能性を少しでも減らし、子供達の目の健康を守るための予防的な治療方法になります。

よく見えるためには、眼鏡やコンタクトレンズが必要です。日中裸眼で生活したいという希望があれば夜就寝時に装用するハードコンタクトレンズ(オルソケラトロジーレンズ)との併用をおすすめします。コンタクトレンズのため十分な管理が必要になりますが、低濃度アトロピンのみよりも近視抑制効果は高いといわれています(※9)。その他、多焦点ソフトコンタクトレンズを用いた近視抑制治療があり、アトロピンとの併用も可能です。お子様の近視の進行を出来る限り抑制し、将来強度近視にならないように近視抑制治療をおすすめします。

参考文献
(※1)Holden BA et al: Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050. Ophthalmology 123:1036-42, 2016
(※2)Haarman AEG et al: The Complications of Myopia: A Review and Meta-Analysis. Investigative Opthalmology & Visual Science 61:49, 2020
(※3)Chua WH et al: Atropine for the treatment of childhood myopia. Ophthalmology 113:2285-91, 2006
(※4)Tong L et al: Atropine for the treatment of childhood myopia: effect on myopia progression after cessation of atropine. Ophthalmology 116:572-9, 2009
(※5)Chia A et al: Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (Atropine for the Treatment of Myopia 2). Ophthalmology 119:347-54, 2012
(※6)Chia A et al: Atropine for the treatment of childhood myopia: changes after stopping atropine 0.01%, 0.1% and 0.5%. Am J Ophthalmol 157:451-7.e1, 2014
(※7)Yam JC et al: Low-Concentration Atropine for Myopia Progression (LAMP) Study: A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Trial of 0.05%, 0.025%, and 0.01% Atropine Eye Drops in Myopia Control. Ophthalmology 126:113-24, 2019
(※8)Yam JC et al: Two-Year Clinical Trial of the Low-Concentration Atropine for Myopia Progression (LAMP) Study: Phase 2 Report. Ophthalmology 127:910-9, 2020
(※9)Kinoshita N et al: Efficacy of combined orthokeratology and 0.01% atropine solution for slowing axial elongation in children with myopia: a 2-year randomised trial. Sci Rep 10:12750, 2020

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