眼瞼下垂
【動画】眼瞼下垂 説明
眼瞼下垂 01眼瞼下垂とは?
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、広義では、まぶたが下がることで見にくくなる状態を示し、主に3つの病態に分けられます。
- まぶたを挙上する働き自体が低下しているもの
- まぶたの上の皮膚が緩んで被さってくるもの(眼瞼皮膚弛緩症)
- 生まれつきまぶたが下がっているもの(先天眼瞼下垂)
以上、この3つです。下がったまぶたによって、視野が狭くなるという視覚的な障害の他、いつも眠たそうに見えるなどの外観的な問題も伴います。
まぶたを頑張って開けようと、おでこの筋肉を使ってまぶたを挙げたり、顎を挙げて見ようとしたりする代償行為のため、慢性的な肩こりや頭痛の原因になることもあります。また、生まれつきの眼瞼下垂の場合、視力の発達の遅れが問題になることもあります。
眼瞼下垂 02どんな治療をするの?
前述の通り、眼瞼下垂は大まかに3つの病態に分類することができるので、各々によって治療のアプローチが異なります。
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眼瞼下垂(まぶたを挙上する働き自体の低下)
このタイプの多くは加齢の変化によって起こるものです。ハードコンタクトレンズを長年装用している方にも起こります。
原因の多くは、まぶたを上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の腱の部分が剥がれたり、薄くなったりすることにより、まぶたを挙上させる力が伝わりにくくなっていることです(腱膜性眼瞼下垂)。
手術では、挙筋の腱膜をまぶたの付着部から一度外して前転し、それを再度縫い縮めるように固定します(挙筋短縮術)。筋肉自体の力が弱くなっている場合やまぶたを上げる神経の麻痺がある場合では、眼瞼挙筋腱膜を縫い縮めても無効なため、おでこの力でまぶたを挙げやすくする方法を選択します。眉の部分とまぶたの間にトンネルを作り、そこに丈夫な糸やゴアテックスという人工素材を通してつり上げます(前頭筋吊り上げ術)。
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眼瞼皮膚弛緩症(まぶたの上の皮膚がかぶさってくることにより見にくくなるもの)
一見、眼瞼下垂にみえるけれども、まぶたを上げる筋肉や腱には異状がないので、偽眼瞼下垂(ニセの眼瞼下垂)とも言われます。
治療法は、図のような二通りの方法があります。まぶたの縁の皮膚を取る方法は、比較的まぶたの皮膚が薄い方が適応となります。二重のラインで切開するので、もともと一重の方は新しく二重になります。眉の下の皮膚を取る方法は、まぶたが厚ぼったい方に向いています。眉の下のラインに沿って切開するので、傷のラインは眉毛や化粧のラインによって目立たなくなります。
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生まれつき認められるもの(先天眼瞼下垂)
生まれつきの眼瞼下垂のほとんどは「単純性眼瞼下垂」と言われるもので、原因はまぶたを上げる筋肉の繊維の減少です。
生まれつきの眼瞼下垂であるため、特に片側の患者さんで視力の発達の遅れ(弱視)を生じることがあります。まずは、厳重な経過観察の上、視力の発達を確認してゆきます。手術時期については、顔の成長をできるだけ待ちますが、視力の発達が遅れている場合、小さい年齢のうちに手術をしなければならないことがあります。
術式は、前頭筋吊り上げ術を選択することが多いです。
眼瞼下垂 03手術を考えている方へ
当院では、まぶたの手術を保険診療で行なっていますが、美容面にも配慮しております。また、目の周囲の組織を扱うため、術後に乱視やドライアイが悪化するなどして「見る」機能を損なわないよう、留意しています。
手術当日は一泊入院をお願いしていますが、ご希望により日帰り手術の対応も可能です。まずは、心当たりの症状があれば、お気軽にご相談ください。