糖尿病
糖尿病 01糖尿病とは
糖尿病とは、「インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である(日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド)」とされていますが、もう少しわかりやすく説明させていただきます。
人間の体内では、血液の中に糖(グルコースともいいます)が溶けており、体内を循環し、糖を必要としている臓器に運ばれます。健康な人の濃度(血糖値)は空腹時で100mg/dl以下とされています。循環している糖は臓器に取り込まれる際に、膵臓から分泌されるインスリンといわれるホルモンを伴って取り込まれ、血糖値が高くならないようコントロールされています。糖尿病がない状態であれば、食事後に腸から吸収された糖はいったん血液中に入り、濃度が高くなるものの、インスリンも必要十分量が分泌されますので、血糖値が大きく上昇することはありません。
しかしながら、糖尿病患者さんの場合、①インスリンは分泌されるものの、効きが弱い(=インスリン抵抗性が高いといいます)、②そもそものインスリン分泌量が少ない、ことにより、血糖値が十分に下がらず、高い状態になります。そうしますと、血液中にあふれた糖が尿から排泄されるようになります。こうした一連の変化を伴った状態を糖尿病といいます。
糖尿病の自然経過についてですが、発症する15年以上前から体内では糖尿病前段階ともいえる変化が起きています(図)。食事摂取量が多く、運動量が少ない状態が続くと、インスリン抵抗性が高くなり、それに伴って膵臓からのインスリン分泌量が増加します。最初は膵臓が頑張って分泌することで、血糖値は大きくは上がらず、糖尿病は顕在化しませんが、膵臓の機能低下が進行すると、徐々にインスリン分泌量が低下し、血糖値が高くなってきます。発症時点では膵臓のインスリンを出す力は低下し、インスリン抵抗性も高い状態になっていることが多いとされています。
(The American Journal of Medicine 2009; 122(6)より引用改変)
糖尿病は大きく3つのタイプに分類されます。
- 2型糖尿病:大多数の糖尿病のタイプです。遺伝的な要因(体質)、環境的な要因(生活習慣)が複合的に影響して発症するとされています。多くの場合、高血圧や脂質異常症(コレステロール、中性脂肪が高い)等のそのほかの病期を併発しています。生活習慣の改善に加え、経口血糖降下薬、注射薬などを用いて治療します。
- 1型糖尿病:はっきりとした原因はわかりませんが、インスリンを分泌する能力が低下することで、発症する糖尿病のタイプです。数日~数年の単位でインスリン分泌量が低下していきます。(1.)とは異なり、インスリン注射による治療が必要です。
- そのほかの原因による糖尿病:膵炎や膵癌に伴う糖尿病、ステロイド薬の使用に伴う糖尿病、ホルモンの異常による糖尿病、遺伝的な原因による糖尿病などがあります。
糖尿病 02糖尿病合併症
糖尿病を治療しないで放置したり、コントロールが悪い状態が長期間つづくと、「合併症」が出てきます。糖尿病が本当に怖いのは、この合併症があるからです。詳細は下記「合併症について」をご参照ください。