合併症
合併症 01糖尿病の合併症について
糖尿病は発症早期もしくは診断後良好にコントロールされている場合、無症状のことが多いです。無症状であるため、治療をしなくてもいいのではないか、治療する意味があるのかと思われることもあるかもしれません。しかしながら、症状がないからといって糖尿病のコントロールが悪い状態が続くと、合併症は着実に進行します。そのため、糖尿病の方は症状がなくても、治療を継続することが重要です。
糖尿病患者さんで認められる合併症は大きくわけて2つに分けられます。1つ目は細小血管合併症といわれるもので、全身の細い血管に起こる合併症です。糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症が該当し、多くの場合、神経障害(し)→網膜症(め)→腎症(じ)と進行しますので、「しめじ」と覚えましょう。これらの合併症は糖尿病に特徴的な合併症とされ、高血糖が合併症の進行に影響するとされています(血圧、脂質異常症等も進行に寄与します)。糖尿病神経障害では、手足の先からはじまるしびれ、疼痛、異常感覚や筋力の低下、自律神経障害(立ちくらみ、便秘や下痢などの排便異常)を認めます。糖尿病網膜症は眼の奥の眼底と言われる場所で出血等が起き、視野がかけてしまう病気ですが、内科の診察だけではわからないため、眼科の先生と連携して診療します。糖尿病性腎症とは腎臓の合併症で、腎臓から尿蛋白が多く漏れ出すようになり、その後腎機能が悪化し、血液透析が必要となるケースもあります。症状はある程度進行しないと出ませんが、むくみ、ミネラルバランスの異常、貧血などが認められます。
2つ目は大血管合併症と言われるもので、全身の太く大きい血管に起こる合併症です。脳卒中(脳梗塞や脳出血)、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)、閉塞性動脈硬化症(足に向かう血管が細くなる病気)が該当します。これらの合併症は先ほどの細小血管合併症と異なり、糖尿病以外の高血圧、脂質異常症、喫煙などの影響が大きいことが特徴であり、血糖だけではなく、それ以外の生活習慣病要因をコントロールすることが重要です。
*1 脳梗塞や脳出血、*2 足の血管が細くなる病気