小沢眼科内科病院

弱視

弱視 01弱視とは

弱視とは、視力が成長するまでに何らかの影響があり視力の成長が妨げられた状態のことをいいます。通常、裸眼視力が見えにくくても眼鏡などを装用すれば視力は出ますが、弱視の場合は眼鏡などを装用しても矯正視力が出ません。

視力の成長に大切な時期

視力が成長する大切な時期があります。視力の成長は生後1ヶ月から1歳半にピークがあります。その後徐々に減少し、8歳以降は視力の成長はしにくいと言われています。

弱視

弱視の治療は、できるだけ早期に弱視を発見して、視力の成長する期間に治療を開始する必要があります。

弱視 02弱視になる原因

両眼の屈折異常が強い場合(屈折異常性弱視)

両眼に強い屈折異常があると、生まれた時から鮮明な光が眼の中に届かないため視力の成長が促されずに、弱視になります。遠視が最も多いですが、強い近視や乱視でも生じます。

弱視

片方に強い屈折異常がある場合(不同視弱視)

生まれた時から片眼に強い屈折異常(遠視・強度近視・強度乱視)があることにより、その眼には鮮明な光が届かないため視力の成長が促されずに弱視になります。

形態覚遮断弱視

先天性眼瞼下垂や、先天性白内障、角膜混濁などの原因疾患があり、鮮明な光が届かないために弱視になります。

斜視弱視

斜視とは片眼がずれている状態をいい、ずれている眼に光が届かないため起きる弱視になります。

弱視

弱視 03治療方法

屈折異常矯正する眼鏡をかける

焦点が合っている鮮明な光を網膜に届けることが大切です。眼の屈折異常を矯正できる眼鏡をかけることが、弱視治療の基本です。
子供は調節力がとても強いため、遠視であれば調節によって実際の眼の屈折よりも軽く測定されてしまいます。そのため調節力を麻痺させる目薬を使用し、本当の屈折値を測定したうえで、眼鏡を作成します。

弱視

眼鏡をかけると楽にはっきり見えるようになるため、たいていのお子さんは眼鏡を嫌がりませんが、中には眼鏡をかけたがらないお子さんもいます。ご家族や学校の先生の協力のもとで、お子さんがストレスを感じることなく眼鏡をかけることができる環境を作ってあげることが大切です。例えば、ご家族全員で眼鏡をかけてみんな一緒だよ!とするのも良い方法と思います(伊達メガネでも可)。
子供は大人に比べて鼻が低く、眼鏡がずり落ちていわゆる「鼻メガネ」の状態になりがちです。眼鏡をかけてもレンズを通して見てくれないと治療の効果は上がりません。鼻パッドやテンプル(つる)を調整して、眼鏡がずれないようにすることが大切です。また子供は成長とともに屈折が変化するため、定期的に屈折検査をして常に合っている眼鏡を装用する必要があります。

遮閉訓練

どちらかの眼に弱視があると、よく見える方の眼ばかりで見てしまい、眼鏡をかけているだけでは弱視眼の視力が上がらないことがあります。眼鏡をかけているだけでは視力が上がらない場合は、良い方の眼に遮閉具(アイパッチ)を付けて、弱視眼で見る時間を増やす訓練が必要です。通常は1日1〜2時間ぐらいから始めて、視力の向上の反応を見ながら調整します。

弱視

アイパッチで遮閉する方法以外には、以下のものがあります。

アトロピンペナリゼーション

遮閉訓練がうまくできない場合に行う治療法です。
視力が良い方の眼にアトロピンを点眼します。アトロピンの作用で調節力がなくなり、近くが見えにくくなります。弱視眼では近くが見えるため、訓練になります。

遮閉膜(ルミエパッチ)

透明でありながら遮閉効果がある特殊なシールを用います。
良い方の眼の眼鏡に貼ることにより、遮閉効果があります。

オクルパット

iPadの画面に特殊加工したものです。アプリで遊びながら弱視訓練を行えます。
専用の特殊偏光眼鏡を装用しないと見えない加工になっており、楽しんで訓練を行えることができます。
当院では通院訓練になり、30分程度訓練をしていただいます。

弱視

弱視は早期発見・早期治療が非常に重要です。
3歳時検診を必ず受けましょう。

弱視 04補助金制度

斜視弱視等、治療用小児眼鏡の作製費用の給付(健康保険適応)

眼鏡にて治療が必要と診断された小児に補助金の制度があります。

給付の内容

治療用眼鏡、治療用コンタクトレンズの作成購入費用の範囲内で義務教育就学前は8割、義務教育後9歳未満までは7割相当の額が支給となります。

購入金額(眼鏡上限額:38,902円 / コンタクトレンズ1枚:16,324円) × 一定割合
最大支給額:31,121円(8割支給)

対象と年齢

9歳未満
弱視、斜視および先天白内障術後の屈折矯正の治療用として用いる眼鏡及びコンタクトレンズの作成費用

給付額

義務教育就学前の場合:健康保険から8割給付 公費から2割給付
小学生(9歳未満):健康保険から7割給付 公費から3割給付

更新(再作成)

5歳未満:前回の眼鏡処方から1年以上経つこと
5歳以上、9歳未満:前回の眼鏡処方から2年以上経つこと

申請方法

患者が全額自己負担で眼鏡やコンタクトレンズを購入した後に、検査を受けた眼科医の検査確認書類を取り揃えて療育費支給申請を行って下さい。
詳しくは各種健康保険窓口までお問い合わせください。

必要書類
  1. 眼科医より治療用眼鏡の作成指示書

  2. 眼鏡処方箋

  3. 購入した治療用眼鏡やコンタクトレンズの領収書

  4. 療養費支給申請書(ご加入の健康保険申請窓口)

乳幼児医療の併用

お住まいの自治体から乳幼児医療費が適応され、自己負担した分の代金も支給されることがあります。

市区町村によって違いがある場合があります。ご自身でご確認ください。

最後に

弱視の治療は可能な時期が限られています。特に年齢が若いほど治療に対する反応が良いため、早期発見・早期治療が大変重要です。しかしお子さんは、見づらさを訴えることはまずありません。生まれて一度もはっきり見えたことがない子は、見えていないということを自覚できないからです。その子が「もしかしたらはっきり見えていないのでは?」ということは、周りの大人、特に一番近くにいるご家族が気づいてあげるしかありません。特に、視力検査ができるようになる3歳児健診は重要です。しかし、3歳児健診でも異常を見つけることができないこともあります。何か気になる症状がありましたら、すぐに眼科を受診してください。

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