オルソケラトロジーとは
就寝時に角膜矯正用のコンタクトレンズを装着し、寝ている間に視力矯正を行い、日中を裸眼の状態で快適に過ごすことができる近視治療です。
使用するコンタクトレンズは、レンズの一部を平坦に加工した特殊な形状のハードコンタクトレンズで、2009年に国の承認を得ました。レンズを就寝中に装用し、角膜を圧迫することによって角膜中央部を扁平化させます。
その結果、角膜屈折力が減弱し、近視軽減効果により日中を裸眼で過ごすことができます。
オルソケラトロジーレンズの話
このような方におすすめです
- 近視度数が中等度以下の方
- ドライアイなどでコンタクトを快適に使用できない方
- 裸眼で日中過ごしたい方
- 激しいスポーツをする方
- 手術が怖いという方
- 成長期のお子さまの近視進行を防ぎたい方
オルソケラトロジーの
メカニズム
-
就寝前
寝る前にレンズを装用し
そのまま就寝します。 -
就寝中
寝ている間にレンズで
角膜を圧迫して
正常な屈折状態にします。 -
起床後
起床後はコンタクトレンズを外し
日中は裸眼で快適に
過ごすことができます。
オルソケラトロジーの
メリット
-
01
日中は裸眼で快適に
過ごすことができます -
02
子どもの場合
近視進行抑制効果もあります -
03
手術を行う必要はありません
オルソケラトロジーで治療を行うと、角膜の形状が変化して裸眼で過ごせる視力が一定時間継続するため、日中は眼鏡やコンタクトレンズを使用することなく快適に過ごすことができます。また、レーシック手術と異なり、侵襲的な治療は行わないため、治療によるリスクなどが低い事や、治療を中止した際には角膜が元の状態に戻ること、度数が進行した場合も、度数を変更することで調整可能な事などが大きな特徴の一つです。また、オルソケラトロジーは近視進行抑制効果も報告されています。
他の矯正方法との比較
矯正方法 | メリット | デメリット |
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オルソケラトロジー |
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眼鏡 |
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コンタクトレンズ |
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レーシック |
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オルソケラトロジーの
安全性
オルソケラトロジーはレーシック手術やICL手術などの外科的手術を行わない為、手術が不安な方なども安心して近視を矯正することができます。レンズの装用を中止すると角膜の形状は元に戻るため、若年層の方や治療方法にお悩みの方でも安心して治療を行うことができます。
オルソケラトロジーは安全性の高い近視治療のひとつですが、正しい使用方法や適切な管理などを行わないと、眼のトラブルや合併症などを引き起こすリスクが高まります。調子よく使用していても、気づかないうちに眼に負担をかけている場合もあります。定期的に検査を受診し、痛みや違和感があった際や見え方が急激に変化した際は、レンズの使用を中止して主治医にご相談ください。
オルソケラトロジーの適応と不適応
適応
- 適応年齢20歳以上
- 未成年は慎重適応
(医師の判断により可能) - 近視矯正は原則-4.00Dまで
- 乱視矯正は-1.50Dまで
- 眼疾患を有していない
- 角膜内皮細胞密度が2,000個/㎜2以上
不適応
- 適応に適合しない方
- 同意が得られない方
- 定期検診に来院することが困難な方
- 妊婦、授乳中の女性
- 免疫疾患のある方
- CL装用、ケア用品使用でアレルギー
- 活動性角膜感染症(+)
- 角膜、結膜、眼瞼疾患および損傷、奇形などがある(春季カタルなど)
- 重度のドライアイ
- 不正乱視
オルソケラトロジーの効果
オルソケラトロジーの効果は、個人差はありますが一般的に1週間くらいで十分な視力を得ることができるようになります。
持続時間は8時間~36時間継続し、治療効果を得る為には最低でも6時間以上の夜間装用を行っていただく必要があります。装用時間が長ければ長いほど視力矯正の効果の持続時間も長くなります。
近視進行抑制効果も期待できる
眼鏡やコンタクトレンズでは
網膜周辺部での光が外に
ずれているため眼軸長が伸びる
オルソケラトロジーレンズでは
周辺部の光は
網膜に近い位置に結んでいる
眼鏡や通常のコンタクトレンズでは、網膜の周辺部で光が外にずれているため、眼軸長が伸びるといわれています。
オルソケラトロジーレンズでは、角膜の形状が変化することで網膜の周辺部での光が網膜に近い位置で結ぶことにより眼軸長の伸びを抑制することにつながると報告されています。
治療の流れ
-
01
適応検査
眼の状態を検査して使用できるか調べます。 -
02
レンズの処方
状態に合わせたレンズの処方を行い1週間テスト装用を行います。 -
03
ご契約
テスト装用が問題なければ、本契約となり治療を継続していきます。 -
04
定期検査
眼やレンズの状態を定期的に確認します。検査スケジュールは下記をご確認ください。
定期検査のスケジュール
- 適応検査
- 自宅で使用開始
- 使用から1週間後
- 1ヶ月後
- 3ヶ月後
- 以後3ヶ月毎、または
眼科専門医が指定した日
治療精度を高めるために
当院では前眼部OCT(CASIA2)で角膜形状解析を行います。CASIA2では角膜形状の状態、屈折力の強さ、乱視度、離心率を測定することができ、オルソケラトロジーの成功率を向上することができます。
また、オルソケラトロジー前後の角膜形状からレンズが角膜に適合しているかを判断しています。前眼部OCT(CASIA2)での正確な角膜形状解析をできることは、オルソケラトロジーの効果判定にとても有用です。
左眼 | 右眼 | |
---|---|---|
オルソケラトロジー前 |
視力0.07 |
視力0.06 |
オルソケラトロジー後 |
視力1.2 |
視力1.2 |
角膜の中心部の形状が変化し、視力は1.2まで向上している。
|
近視手帳について
当院ではオルソケラトロジーの治療を受けられる患者さまへ近視手帳をお渡ししています。
定期検査時に眼軸長や屈折度数を記録いたします。治療開始からの記録や変化を患者様のお手元に残すことができます。
費用
低濃度アトロピン
半額を返金、
購入であれば
差額分を差し引きます。
(低濃度アトロピンセット)
- ※オルソケラトロジーの費用には、適応検査、自宅お試しの費用が含まれています。
- ※ご契約の場合、お支払いにクレジットカードがご利用いただけます。(VISA・MASTER・JCB等)
治療成績(2021年8月〜12月)
治療開始された年齢の内訳
2021年8月から2021年12月に治療を開始された方は25名でした。年齢の内訳は7歳から23歳と幅広いですが、平均年齢は12歳であり、特に11歳と12歳の小学生高学年のご希望が多い結果でした。
小学校低学年でもご家族のサポートによりオルソケラトロジーレンズを開始することが可能です。
治療後の裸眼視力
2021年8月から2021年12月に治療開始された方は25名でした。そのうち、治療開始時に近視が-4.00D以内であった方でオルソケラトロジーレンズを1週間以上装用した後の裸眼視力の結果は、1.0以上が100%であり、1.2以上は89%でした。
良好な結果であり、とてもよく見えるとお声をいただいています。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 | |
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8:00~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ― |
13:00~17:00※ | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | ― |
※…コンタクトレンズ新規作成の受付は16:00まで
よくある質問
オルソケラトロジーは保険適応外の治療となり、眼科によって費用が異なる場合があります。
レンズに度数は入っていませんが、角膜の最終的に矯正される曲率とレンズの内面側のカーブがほぼ同じである為、眼を開けたら見えます。したがいまして、夜中(装用中)に起きても見えます。
適切な近視矯正効果を得るためには、個人差がありますが毎日6時間程度の装用が必要です。
定期検査は裸眼の状態で来院をお願いします。レンズケースにオルソケラトロジーレンズを保存して持参してください。
矯正効果が安定するまで毎日装用します。矯正効果には個人差があります。
効果については個人差がありますが、治療開始直後(数日間)は長い時間の効果は得られません。 最初は夕方には視力が少し落ちる事もあります。
今のところ、 日本国内で厚生労働省の認可を受けているのは近視と近視性乱視を対象としたオルソケラトロジーレンズだけです。
すべての方にお使いいただけるわけではありません。使用を始める前に、眼科専門医が眼の健康状態、近視の度合い、角膜の形状などを検査し、使用の可否を判断します。オルソケラトロジーガイドラインでは-4.00Dまでの近視あるいは近視性乱視に適応できることが確かめられています。
オルソケラトロジーレンズの装用に起因する角膜感染症などの重篤な合併症はこれまでに報告されていません。しかし、レンズを適切に使用していなかったり、レンズやレンズケースを清潔に保っていなかったりする場合には、通常のハードコンタクトレンズと同等の合併症が起こり得ることはありますので、定期検査を必ず受け、眼科医の指示を守りレンズを正しく使用してください。
まず、オルソケラトロジーレンズの装用に適しているか、適正検査を受ける必要があります。 検査の結果、適していると判断されたら、装用開始1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、以降は3ヵ月間隔で定期検査を受ける必要があります。 効果的な治療はもとより、安全で快適にオルソケラトロジーレンズを装用するためにも定期検査は必ず受けるようにしてください。
レンズを使用していた期間や個人の眼の状態によって異なりますが、おおむね2週間から1ヵ月程度で角膜は治療を始める前の状態へ戻ります。
オルソケラトロジーレンズによる治療は軽度の近視患者様を対象としておりますが、治療の可否については、眼科専門医が様々な検査を実施して総合的に判断します。
レーシックは手術による矯正ですが、オルソケラトロジーは、角膜の上皮を変形させて視力を矯正します。
そのため、レーシックでは角膜形状は元に戻りませんが、オルソケラトロジーでは治療を中止すれば、おおむね治療開始前の眼の状態に戻リます。
警察庁交通局運転免許課より、オルソケラトロジーレンズ使用者に対して以下の通達がされています。それによれば、治療中の運転免許は「眼鏡等」の条件付きになります。
- 運転免許取得、更新時の視力検査に裸眼で合格していても、運転免許証の『免許の条件等』には『眼鏡等』と記載されます。
- 視力検査時には、検査担当者にオルソケラトロジーレンズを使用している旨を申告しなければなりません。
- 『眼鏡等』の記載をなくすためには、オルソケラトロジー治療を完全に中止した上で、裸眼で視力検査に合格する必要があります。
- オルソケラトロジー治療中でも、基準の視力が得られていない場合は、裸眼で運転すると免許の条件違反となります。
車のダッシュボードなど、高温になる場所に長時間放置しないでください。レンズが変形することがあります。
ハードタイプのレンズですから異物感(ゴロゴロ感)はあります。処方前検査時にレンズを1時間装用します。まず、その時点で慣れるかの判断を行います。