IPCLとは
IPCLは、イギリスのEyeOL社から2014年に発売された眼内コンタクトレンズです。2017年には老視用のIPCL V2.0がヨーロッパでCEマークを取得。現在、世界40カ国以上で100,000枚以上が挿入されています。ICLは厚生労働省から国内での臨床使用許可を受けていますが、IPCLはまだ国内未承認のレンズです。
IPCLは、ICLと同様に、角膜を削らずに眼の中にレンズを挿入し視力を矯正する治療法です。レンズは、虹彩の後ろ側と水晶体の前面の間に配置されるため、外観上まったく見えません。
素材はハイブリット親水性アクリルで作成され、ハイブリット素材を採用することで、タンパク質などの粒子が付着しにくくなっています。また、LAISK(レーシック)とは異なり、角膜を削ることなく半永久的に使用することができます。
IPCLの特徴
老眼治療ができる
IPCLでは多焦点レンズを選択することができ、老眼の治療が可能です。
軽度近視にも対応可能
ICLでは対応できない弱軽度近視にも、料金の変更なく対応できます。
遠視にも対応可能
ICLでは対応できない遠視の方も矯正することができます。
眼内コンタクトレンズ
(IPCL)について
IPCLは長方形のレンズで、親水性アクリルから製作されています。コンタクトレンズと同様の柔軟な素材であり、度数の大きな変動や将来的に白内障手術を受ける際には、レンズを取りだすことができます。
7つの孔が開いており、これにより房水の流れが確保され、虹彩切除の必要がなくなります。この特徴により、合併症(眼圧上昇、白内障)のリスクが低減されると期待されています。
さらに、6つのフットプレートがあり、これらで虹彩の根元(毛様体)に固定します。
IPCLはこのような方におすすめです
- 裸眼での生活を希望する方
- 40歳を超え、近くの物が見にくくなってきた方
- ドライアイのため、コンタクトレンズが合わない方
- 弱い近視があるが、レーシックよりも眼内コンタクトレンズを選択したい方
- 遠視があり、眼鏡をかけるのを避けたい方
IPCLの適応
適応
- 年齢が20歳以上で、原則52歳までの方
- 軽度の遠視から強度の近視を持つ方
- 軽度から強度の乱視を持つ方
- 遠視、近視、乱視以外の眼科的疾患がない方
不適応
- 他の眼の疾患を持つ方
- 妊娠中や授乳中の方
- 医師の説明を理解できない方
- 診察の結果、医師が病態や全身状態から不適応と判断する場合
IPCLの手術を
受けたスタッフへのインタビュー
INTERVIEW 01
Q.IPCLを入れたきっかけ
私は手術室での勤務中、小さな針や細い糸を扱うことが多く、ソフトコンタクトレンズをつけると、遠くは見えるものの近くが見えにくく、とても仕事がつらかったです。そこで一時期、片眼のみを矯正する「モノビジョン」という方法を試みましたが、遠近感を得ることができず、非常に不自由を感じていました。ICLの手術を受けることを考えていたものの、45歳以下の年齢制限や老眼の問題がハードルとなっていました。しかし、当院でIPCLが導入され、それに伴い多焦点レンズの存在を知り、IPCLの手術を受けようと決断しました。
Q.手術後の生活の変化
手術を受けてからは、遠くのものだけでなく、近くのものもはっきりと見ることができるようになりました。手術室での勤務も格段に楽になり、小さな針などの細かい作業も問題なくこなせるようになりました。これからもしっかりと仕事を続けることができそうです。プライベートでは、コンタクトレンズに起因するトラブルを気にせず、子供たちと裸眼でプールを楽しむことができ、IPCLの恩恵を実感しています。
INTERVIEW 02
Q.IPCLを入れたきっかけ
私は軽度の近視を持っており、毎日の生活にコンタクトレンズが欠かせませんでした。ICLを考えたこともあったのですが、私の度数の範囲である-3.00D以下の近視は、個人輸入のみの対応となり、大変高額でした。そんな中、IPCLが軽度の近視や遠視にも適応すると知り、IPCLの手術を選択しました。
Q.手術後の生活の変化
手術後は何より日常生活の質の向上を強く感じています。手術前の弱い近視だった頃でも、常にコンタクトレンズやメガネを使用する必要がありました。しかし手術後は裸眼でクリアにものを見ることができるようになりました。この新たな視界の快適さに、改めて驚きを感じています。特にスポーツを楽しむ際、コンタクトレンズの煩わしさから解放され、裸眼でよりアクティブに活動できるようになりました。
IPCLの注意点
単焦点IPCLと比べて遠くものがすっきり見えない
専門的には「コントラスト感度低下」と言います。視力検査は一定の環境下で測定されますが、日常では色々な条件の場面があります。曇り空や夕暮れ、雨など、日常で見えにくさを感じる環境下では、多焦点IPCLの方がすっきり見えないことがあります。
この症状は、多焦点IPCLにより光を遠くと近くに分配したことにより生じるものです。
この感じ方には個人差があります。
術前検査では多焦点のソフトコンタクトレンズを入れて遠くから近くまでの光を分けて違和感がないか確認しますが、そこで見え方がすっきりしない方は多焦点IPCLに不向きなことがあります。また、術前に違和感がない場合でも実際に多焦点IPCLを入れて見え方がすっきりしない方もいます。
単焦点IPCL
単焦点IPCLでは光の減衰はないため見え方はクリア
多焦点IPCL
多焦点IPCLでは、
光を近くにも配分するため、
単焦点よりも鮮明には見えにくい
※注意: | 単焦点と多焦点の差はあくまでもイメージです。 説明が伝わりやすいように強調してあります。 |
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グレア・ハロー
グレアやハローは夜間に見えることが多い光視現象です。単焦点IPCLでも同じ現象が見られますが、多焦点IPCLではより強く感じやすくなります。特に術後は強く感じることがありますが、3ヶ月、半年と時間の経過とともに減弱していくと言われています。日常生活が困難な場合は多焦点IPCLから単焦点IPCLへの交換が必要になることもあります。
グレア
ハロー
多焦点IPCLが向かない方
- 極度に神経質の方
- 斜視がある方
- 網膜疾患がある方
- 緑内障などの視野異常がある方
- 角膜不正乱視がある方
IPCLの規格
レンズ種類 | 遠視/近視+老視用 | 【乱視用】 遠視/近視+老視用 |
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球面レンズ範囲 | +15~-30D (0.50Dstep) |
+15~-15D (0.50Dstep) |
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乱視レンズ範囲 | 0.5D~-8D (0.50Dstep) |
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老視加入範囲 |
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レンズサイズ | 11.00mm~14.00mm(0.25mmstep) |
レンズ種類 | 遠視/近視 | 【乱視用】 遠視/近視 |
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球面レンズ範囲 | +15~-30D (0.50Dstep) |
+15~-15D (0.50Dstep) |
乱視レンズ範囲 | 0.5D~10D (0.50Dstep) |
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レンズサイズ | 11.00mm~14.00mm(0.25mmstep) |
手術の流れと注意点
適応検査
IPCLをご希望の方はIPCL手術の可否を判断するために適応検査が必要です。
適応が確認できましたら次の術前検査に進んでいただきます。
- 適応検査時は散瞳検査を行いませんので、お車での来院が可能です。
- コンタクトレンズを使用されている方は、日常の見え方を把握するため、コンタクトレンズを装用してご来院ください。
術前検査
01運転に関しての注意
術前検査日には、ご自分での車の運転は避けてください。散瞳剤の使用により眩しさや視界がぼやけ、4~5時間見えにくくなるため、運転が非常に危険となります。
02コンタクトレンズに関する注意
ソフトコンタクトレンズは検査の1日前から、ハードコンタクトレンズは1週間前からの装用を中止してください。
長期間のコンタクトレンズ使用による角膜の変形は、検査データの誤差やIPCLの度数計算の狂いを引き起こす恐れがあります。
これが原因で術後の裸眼視力が期待通りにならない可能性があります。
03眼鏡とコンタクトレンズの取扱い
検査日当日は、眼鏡を着用してご来院ください。
検査が終わった後のコンタクトレンズ装用は問題ありません。
04検査内容と所要時間
術前検査は、眼科検査に加え、採血検査も含まれます。検査全体で約3~4時間を要しますので、お時間に余裕を持ってご来院ください。
来院スケジュール
手術後の来院スケジュールと検査内容は下記の通りです。
検査内容につきましては、症状に応じて必要な検査を行う場合があります。
来院スケジュール | 検査内容 |
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適応検査 | 視力検査、眼圧検査、前眼部3次元画像解析、細隙灯顕微鏡検査 ※コンタクトレンズを使用されている方は、コンタクトレンズを装用してご来院ください。 ※散瞳検査は行いませんので、お車でのご来院が可能です。 |
術前検査 | 視力検査、眼圧検査、前眼部3次元画像解析、眼軸長検査、散瞳、角膜内皮細胞検査、眼底検査、細隙灯顕微鏡検査 |
手術 翌日 | 視力検査、眼圧検査、前眼部三次元画像解析、細隙灯顕微鏡検査 |
手術 1週間後 | 視力検査、眼圧検査、前眼部三次元画像解析、細隙灯顕微鏡検査 |
手術 1か月後 | 視力検査、眼圧検査、前眼部三次元画像解析、細隙灯顕微鏡検査 コントラスト感度検査 |
手術 3か月後 | 視力検査、眼圧検査、前眼部三次元画像解析、 角膜内皮細胞検査、細隙灯顕微鏡検査 |
術後の注意点
入浴・シャワー | 術翌日から |
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洗髪・洗顔・メイク | 術後2日目から |
仕事(デスクワーク) | 術翌日から |
運動 | 術後1週間から |
車の運転 | 見え方が安定したら (手術翌日の診療時に医師に確認してください。) |
水泳(プール、海) | 術後1か月後から |
手術費用について
単焦点 IPCLレンズの費用
遠視/近視
〈 乱視用 〉遠視/近視
多焦点 IPCLレンズの費用
遠視/近視 +老視
〈 乱視用 〉遠視/近視 +老視
IPCL治療に関する費用・支払い方法
01診療範囲
- IPCL治療は、すべて自費診療となります。
- 手術費用には、術前検査、手術、術後の診察(術翌日、1週、1ヶ月、3ヶ月)、投薬(点眼・内服薬)の料金が全て含まれています。
02個人の保険について
- ご自身で契約している保険に関しては、支給額が保険会社ごとに異なるため、手術前に確認をお願い致します。
03支払い方法
- 手術当日に現金、またはクレジットカード(VISA・MASTER・JCB・AMEX・ダイナース)にて全額お支払いください。
- 手術決定時に、内金として手術費用の半分をお支払いいただきます。
04キャンセルポリシー
- レンズ発注後のキャンセルは原則お受けできません。
- やむなくキャンセルとなった場合、内金の返金は致しかねます。
05その他の手術に関する費用
- 乱視矯正IPCLの軸ずれ修正は、手術費用に含まれます。
- IPCL度数・サイズが合わない、または合併症によるレンズの取り出しや新しいレンズの挿入については、レンズ料金をご負担いただきます。
レンズの摘出や再挿入等の治療に伴う費用について
治療内容 | 検査内容 |
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レンズの軸ずれ修正 | 手術費用に含まれます |
レンズ不適合におけるレンズ摘出 | 手術費用に含まれます |
レンズ不適合における新しいレンズ挿入 | レンズ料金をご負担いただきます |
その他の合併症に伴うレンズ摘出 | 手術費用に含まれます |
その他の合併症に伴う新しいレンズ挿入 | レンズ料金をご負担いただきます |
入院をご希望の場合
差額室料 | 設備 | |
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大部屋 | 差額室料なし | ロッカー、トイレ、冷蔵庫、テレビ、セーフティボックス |
個室 | ¥5,500(税込) | ロッカー、トイレ、冷蔵庫、テレビ、セーフティボックス |
特別室B | ¥6,600(税込) | ロッカー、トイレ、シャワー、冷蔵庫、ポット、空気清浄機、テレビ、セーフティボックス |
特別室A | ¥22,000(税込) | ロッカー、トイレ、浴室、冷蔵庫、ポット、空気清浄機、テレビ、セーフティボックス、アメニティセット |
※個室料は、1暦日の料金です。
例:個室1泊2日の場合 ¥5,500×2日分=¥11,000
※自費診療で入院される場合の料金となります。