レンズを摘出せず、追加矯正が可能な手術「Add-on(アドオン)
レンズ」とは
Add-onレンズ(以下、「アドオンレンズ」)とは、すでに白内障の手術を受けた方に対して、現在挿入されている眼内レンズを摘出することなく、追加で挿入できる新しい眼内レンズになります。
白内障手術で矯正しきれなかった近視・遠視・乱視の矯正が可能となります。
また、白内障手術において、すでに「単焦点眼内レンズ」を挿入されている方で、老眼鏡の使用頻度を減らしたいという場合には、【多焦点のアドオンレンズ】がお勧めです。
追加矯正は、レーシックで行うことも可能ですが、角膜を削って矯正をする為、削った角膜を元に戻すことは出来ません。
しかし、アドオンレンズ挿入術の場合、レンズ挿入後に合わなかった時には摘出が出来ますので、元の状態へ戻す事が可能な手術となります。
アドオンレンズにおける追加矯正手術は、保険適応外のため自費診療となります。
このような方におすすめです
- 既に白内障手術を受けていて、裸眼でもっと見えるようにしたい。
- 単焦点眼内レンズが入っているが、多焦点眼内レンズにしたい。
以前受けた白内障手術後に眼鏡をかけることを余儀なくされていた方が、裸眼視力の改善をご希望の場合に使用するレンズになります。
当院ではCamelle lens(イタリアのSOLEKO社製のアドオンレンズ)を使用しています。EU加盟国の基準を満たす製品に付与されるCEマークを取得しており(https://www.soleko-iol.it/en/)、優れた安定性を持っているため精度の高い矯正が可能です。
Camelle lensとは
Camelle lensは、イタリアのローマにあるSOLEKO社が開発したレンズです。
レンズには、単焦点・単焦点乱視用・多焦点・多焦点乱視用がありますので、様々な矯正が可能となります。 特に単焦点眼内レンズが入っている眼に対して、多焦点レンズを挿入することにより、術後に眼鏡がなくても遠方や近方がある程度見ることが可能となります。
※注文からレンズが日本に届くまでに約3~5週間の時間がかかります。
※すでに挿入されている眼内レンズの状態にもよるため、すべての患者様に挿入が可能ではありません。
※国内未承認のレンズのため、自費診療となります。
レンズの種類
単焦点 | 遠視や近視を矯正 |
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主に多焦点眼内レンズ挿入後の屈折誤差への対応や、 単焦点眼内レンズ挿入後の左右の度数の差が大きい場合はこのレンズで矯正可能です。 |
単焦点・乱視用 | 遠視や近視と同時に乱視も矯正 |
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単焦点のアドオンレンズに乱視矯正機能をつけたものです。乱視が気になる場合は適応になります。 |
多焦点/多焦点・乱視用 | 屈折型のEDOF使用 (※)約50cmまで明視可能 |
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既に白内障手術が済み、単焦点眼内レンズが入っている方で、どうしても多焦点眼内レンズにしたいという場合は適応になります。乱視がある場合は乱視用の多焦点レンズを選択します。 |
(※)EDOF(Expanded Depth of Field)眼内レンズとは、焦点を結ぶ距離が広いレンズです。 今までの多焦点眼内レンズの多くは、回折現象を利用して遠くと近くに焦点を分配し、遠近両用とするものでした。しかしこれにより夜間に光の周りにリングが見えたり、まぶしく見えたりするグレア・ハローという現象が課題でした。EDOF(イードフ)レンズは、独自の理論に基づき焦点の領域を広げる構造になっているため、グレア・ハローが軽減され、夜間もより自然な見え方になっています。
手術方法
手術時間は10~15分程度です。
散瞳薬を用いて
瞳孔を開きます
2.4mmの切開創から
アドオンレンズを虹彩の下に
挿入します
元々の眼内レンズの上に
アドオンレンズが入ります
アドオンレンズのメリットとデメリット
メリット
- 角膜を削って屈折矯正をするレーシックと比べて見え方の質が良く、近視、遠視、乱視を矯正することができます。
- 単焦点レンズで白内障手術を受けられた方でも、多焦点のアドオンレンズを使用することにより遠くから近くまで見え、近用眼鏡の使用頻度を減らすことができます。
- アドオンレンズが合わなかった場合は取り出すことができ、元の状態に戻すことができます。
デメリット
- 保険適応外のため自費診療となります。
- 通常の白内障手術と同様に感染症などの合併症を起こすことがあります。
- アドオンレンズでも完全に矯正できるわけではありません。わずかに遠視、近視、乱視が残る可能性があります。
乱視用レンズのデメリット
- 乱視には角度があり、その角度が手術後に回転し、ずれてしまった場合は軸の修正が必要になります。
多焦点レンズのデメリット
- 夜間や暗い場所ではグレア・ハローの現象が生じます。
グレア
ハロー
- 近くは約50cmまでの距離が見やすいように設計されており、それよりも近い距離では近用眼鏡が必要になることがあります。
- 薄暗い場所では文字が見えにくい場合があります。
- 見え方に慣れるまでに3〜6ヶ月かかる場合があります。
アドオンレンズの適応と不適応
適応
- 白内障手術後の眼内レンズが嚢内に固定されている眼
不適応
- 挿入されている眼内レンズが偏位または、嚢内固定が不安定
- 角膜から眼内レンズまでの距離が近い場合(前房深度2.8mm以上が推奨)
- 慢性ぶどう膜炎
- チン小帯(眼内レンズを支えている支持組織)が脆弱な場合
手術費用 (片眼)
単焦点
275,000円(税込)
単焦点+乱視矯正
330,000円(税込)
多焦点
385,000円(税込)
多焦点+乱視矯正
440,000円(税込)
- 手術決定時に、内金として手術費用の半分をお支払いいただきます。
- 手術費用には適応検査、術前検査、レンズ代金、手術後3ヶ月後までの診察費用、検査料、薬剤料を含みます。
- レンズ発注後のキャンセルは原則お受けできません。やむなくキャンセルとなった場合、内金の返金は致しかねます。
- 手術費用は、現金またはクレジットカード(VISA・MASTER・JCB・AMEX・ダイナース等)でお支払いください。
入院をご希望の場合
差額室料 | 設備 | |
---|---|---|
大部屋 | 差額室料なし | ロッカー、トイレ、冷蔵庫、テレビ、セーフティボックス |
個室 | ¥5,500(税込) | ロッカー、トイレ、冷蔵庫、テレビ、セーフティボックス |
特別室B | ¥6,600(税込) | ロッカー、トイレ、シャワー、冷蔵庫、ポット、空気清浄機、テレビ、セーフティボックス |
特別室A | ¥22,000(税込) | ロッカー、トイレ、浴室、冷蔵庫、ポット、空気清浄機、テレビ、セーフティボックス、アメニティセット |
※個室料は、1暦日の料金です。
例:個室1泊2日の場合 ¥5,500×2日分=¥11,000
※自費診療で入院される場合の料金となります。
アドオンレンズ挿入後に起こりえること
乱視軸ずれ(乱視矯正レンズを挿入する場合)
乱視矯正効果のあるアドオンレンズを使用する場合、レンズの固定位置が決まっています。
手術直後~術後数日の間にレンズが回転してしまうことがあり、乱視矯正効果は減弱します。
アドオンレンズが回転して乱視が残存する場合は、レンズの位置を修正する処置が必要となることがあります。
なお、乱視軸ずれによる軸修正に係る費用は手術費用に含まれ、追加請求はありません。
矯正不足
100%の精度で屈折矯正を行うことは現実的には不可能です。
近視、乱視が残ることで満足が得られない場合は、アドオンレンズの入れ換えが必要になる可能性があります。 入れ換えに対する費用は、手術料及びレンズ料金をご負担いただきます。
偶発症
手術を行うにあたり、予期しないもしくは発生する確率の極めて低い合併症や偶発症(医療機器の不具合、天災等)による、アドオンレンズの入れ換えが必要になる可能性があります。
入れ換えに対する費用は、手術料及びレンズ料金をご負担いただきます。